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写真の加工

 前回・今回と写真ネタが続いてしまいましたが、季節ネタですので一気にやってしまいましょう。今回は写真の簡単な処理について書いてみます。お題は「サクラ」です。自宅近くのサクラを撮ってみました。

サクラ0

C-2020Z 望遠端 マクロ 絞り優先AE F4.0 +0.7補正 感度ISO100

 このサクラの木、かなり大きい部類に入りますが、その幹の下のほうからちょろっと出ている若い枝に咲いた花とつぼみを撮ってみました。背景で桜色なのは上の方に咲いているサクラの花、緑はその向こうの竹林です。このサクラは何回か撮っていますが、咲いている位置や咲き具合も含めて、こういう条件にめぐり合えるのはかなりまれです。まあ、プロならそういう条件をうまく探すんでしょうけど。

 デジカメ(CAMEDIA C-2020ZOOM)で撮って、一応その場で確認して、家に帰ってきてからPCで整理。PCの大きい画面で見てみると、中央の芽の下からクモの巣が出ています。一番下のつぼみの根元からも斜め右下に向かってクモの巣が延びています。撮っているときには全然気づかなかったのですが。Webに載せた拡大像はVGAですが、元は1600X1200のHQモードで撮っているので、よりはっきり分かります。

うう、クモの巣が ああ、こんな所にも

↑こちらは拡大像があります

 もう一つ、これは好みの問題になってしまいますが、どうも左上の竹林にかぶった木漏れ日のボケががちゃがちゃして気になります。どちらも気づかなければそのまま気づかないで終わってしまうような些細な問題ですが、気になりだすと気になって仕方がなくなるのが人情というもの。銀塩プリントだと修正は面倒ですが、ここはデジタルデータの強みを生かして、ちょいちょいと修正してしまいましょう。銀塩でも適当な方法(Photo-CD・FDI・フィルムスキャナ etc)でデジタルデータにできれば、自力での修正が可能ですね。

★☆★彡☆ クローンツール ★☆★彡☆

 まず、クモの巣を消すことにします。こういう場合、クローンツールを使うと簡単に消せます。クローンツールとは、ある一定の位置関係にある画素をコピーしてくる機能です。

クローンツール

クローンツール

 下の図で○の中に×が書いてあるマウスカーソルがクローン元です。ただの○がクローン先。この二つのマウスカーソルはこのままの位置関係を保ってウィンドウの中を動き回ります。適当な位置でマウスのボタンを押すと、×から○へ画素がコピーされます。○の大きさや形は上のツールバーで変えられます。また、ぼかしや透明度も設定できます。

基本操作  基本的な操作。このように、背景のグラデーションの流れに対して、修正したい傷などが斜めに走っている場合、傷に垂直に使うのではなく、グラデーションの等色線(?)と平行な方向に使う。

 この○と×の位置関係は変更することができます。ツールバーの「元」と書いてあるボタンを押して、コピー元をクリックします。次にコピー先をクリックすることで、位置関係が決定します。また、[Shift]キーを押しながらマウスを動かすと、○だけが動くようになります。この方が簡単に位置関係が変更できますね。基本的には背景にとけ込むようにコピーしなければなりませんから、修正場所のなるべく近くの、それも同じ色の画素をコピー元にするのがコツです。背景の色がなだらかに変化している場合、変化の方向と垂直の方向(色が変化していない方向)に選ぶとよいでしょう。

 もし、そのような条件を満たせる場所がない場合は、近くの複数の場所から色をもらってきて、透明度を高めにして合成すると比較的きれいに仕上がります。

面倒な場合

面倒な場合
 あちゃちゃ

左からだけコピー
 両側から

両側からコピー

 このように等色線と平行に傷などが入っている場合、同じような色を持って来ることができない。しかし、片側からクローンツールを使うと明らかに色の違う線ができてしまう。きれいに仕上げるには透明度を上げ、なおかつ両側からクローンツールを使う。

 では、さくさくっとクモの巣を消してしまいましょう。コピー元は一度設定したら最後まで変えないのではなく、時と場合によって臨機応変に変えることが必要です。特に右側の画像は背景が比較的複雑なボケなので、こまめに変えないといけません。概ねのコピー方向を下に示しておきます。「困」のところはあちこちから集めてきて調整してください(汗)。

コピー方向 面倒。(--;

 実際には、矢印で書いた以外にも細かく調整して、アラが出ないようにします。人間の目というのはいい加減なようでおそろしく敏感なものです。拡大倍率を大きくしたり小さくしたりして、逐次確認しながら作業を進めます。修正したものを以下に示します。

コピー方向 面倒。(--;

 どうでしょう? クモの巣が跡形もなくなくなりましたね。
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★☆★彡☆ マスクツール ★☆★彡☆

 さて、次はガチャガチャしたボケを整理してしまいましょう。ボケをなだらかにするにはガウスぼかしを使うのが簡単です。

サクラ0

ガウスぼかしをかけてみた

 ボケはきれいになりましたが、主要被写体までぼやけてしまいましたね(当たり前です)。主要被写体はそのまま残し、他だけをぼかしたい場合、マスクを使います。

マスクツール

マスクツール

 ひと口にマスクツールと言っても、様子の違った4種類のツールがあります。一番左の四角や丸が書いてあるツールは幾何学的なマスクを作ります。トリミングの位置決定や、四隅まできっちりマスクしたい場合に向いています。次は不定形マスクで、コラージュを作りたい場合や、被写体の一部だけに効果をかけたり、あるいは被写体の一部を効果から除外する場合に向いています。次はマスクのペイントでちょっとした修正に向いています。最後がスマートマスクと言われる機能で、似た色を一度にマスクします(かなり強力で便利です)。とりあえず、ここでは不定形マスクで被写体を囲ってしまいましょう。

 不定形マスクは、マウスをクリックして回ればその点を結んだマスクを生成します。ドラッグすればその軌跡がマスクの境界線になります。混在することも可能です。「やばい、はみ出した」と思った場合は[Backspace]で一点元に戻ることができます。終わりたいときは始点の近くでダブルクリックすると、始点と終点をつないでくれてマスク領域が確定します。マスクは閉曲線であることに注意して下さい。マスクは原則としてOR演算されていくので(上の[+][-]ボタンを切り替えると、他の演算もできます)、いくつかの領域に分けてマスクしていくと楽です。今回はボケを整えるだけの目的なので、被写体きっちりまで囲う必要はありません。ちょっと離して適当に囲えばOKです。

とりあえず囲った

とりあえず囲ってみた

 不定形マスクだと周囲がうまく囲えませんので、ここは幾何学マスクをつかって隅まで覆ってしまいましょう。

隅まで囲った

隅まできれいに覆った

 あとはガウスぼかしをかけてセーブすればおしまい。

完成(1)

完成(1)

 うーん、ちょっとぼかし過ぎて、きらきらした春の感覚が薄れてしまいました。ちょっと考え方を変えて、今度はうるさいところだけをぼかしてみます。うるさいのは左上の暗めの緑の部分なので、ここだけマスクします。こういうときはスマートマスクを使うのが一番楽です。スマートマスクを選んで範囲を10%くらいにして、暗い緑の部分をクリックすると、同じような色の部分がわぁ〜っと選択されます。これは言葉で書くより実際にやってみた方が早いでしょう。何度かクリックして希望の範囲に調整しますが、余計なところまでマスクが行ってしまった場合には、[マスク]-[元に戻す]で一回だけ元に戻せます。

とりあえず

3回ほどスマートマスクを適用したところ

 クリックがたったの3回でいい具合にマスク範囲が広がってきました。あとは島状になっている部分を幾何学マスクや不定形マスクで埋めてマスクはおしまい。

島を埋める

島状の部分を整理

 今回はスマートマスクを使ったため、マスクが主要被写体ぎりぎりまで迫っています。このままガウスぼかしをかけると、主要被写体の輪郭がぼけることがありますので、マスクの範囲を縮小します。[マスク]-[マスクのぼかし]を使うのが簡単です。マスク範囲を縮めたいので「内側」に10ピクセルくらいぼかせばいいでしょう。[表示]-[ルビーオーバーレイ]を使うと、マスクの具合がよく分かるようになります。

ぼかす

マスクをぼかす(ルビーオーバーレイ表示)

 この状態でガウスぼかしをかけ、セーブすればできあがりです。

完成!

完成(2)
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