実際の運用について

 このページでは、ISDN・DSU・TAを実際に使ってみて、気が付いた事を書いていきます。

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アナログポートからの発信 (18 Dec 1997)
アナログポートと短縮ダイヤル (18 Dec 1997)
停電モード (18 Dec 1997)
ナンバーディスプレイ (08 Mar 1998)
タイムプラス(NTTの市内長電話割引サービス) (25 Aug 1999)
i・ナンバー (02 Nov 2000)

 アナログポートからの発信▲戻 ★

 アナログポートにつないだ電話は、基本的に今までと同じように使用できますが、一つだけ注意することがあります。それは発信(つまり、電話をかける操作)についてなのですが、アナログ回線はプッシュ方式もダイヤル方式も、入力された番号はその場で電話局の交換機に送られていました。

 が、ISDNの場合、電話番号はひとまとめにして電話局の交換機に送らなければなりません。このため、入力された電話番号の終了を検出する必要があるのですが、これが簡単ではないのです。

 頭が0なら市外局番など、電話番号にはある程度の規則性があるとはいえ、例えば浜松や千葉なら市内通話は7桁のダイヤルですが、東京は8桁です。03は東京の市外局番で、06は大阪の市外局番ですが、その後に0が付くと意味が変わります(携帯やPHSの番号になりますよね?)。海外へ電話をかける場合はもっと事情はややこしくなります。

 というわけで、インテリジェントな対応はほとんど不可能なので、たいていのTAはダイヤル桁間タイマーというのを持っていて、電話番号の桁と桁の間がある一定時間を超えたら、つまり、ある一定時間電話番号の入力がなければ、そこまでの番号をまとめて電話局の交換機に送ることになっています。

 この時間はAtermIT55の初期値で5秒です。なおかつ、これより短くできません。よって、ダイヤル後、発信までに5秒ほど間が空くことになります。この時間が結構だるかったりするのですが、例えばAtermIT55の場合、最後に#を押すことによって、電話局に発信を始めます。

 電話機の短縮ダイヤルを使う場合も、「#」が短縮ダイヤルに登録できるのなら、「#」ごと登録しておくとよいでしょう。なお、短縮ダイヤルに関しては、次の項もご覧下さい。

 反対に、電話帳を見ながら電話をする場合など、ダイヤルの桁と桁の間が5秒以上あくと発信を始めるので注意が必要です。

 アナログポートと短縮ダイヤル▲戻 ★

 今時の電話は、たいてい短縮ダイヤルが付いていると思いますが、TAにもたいてい短縮ダイヤルがついています。さて、どちらの短縮ダイヤルを使った方がよいのでしょうか?

 我が家の電話は短縮ダイヤルに2種類あって、一つはワンタッチ、つまりボタン一つで発信できるようになっていて、もう一つは「短縮」ボタンと数字ボタンを組み合わせて発信するようになっています。

 一方、AtermIT55の場合、短縮ダイヤルは「*」と数字ボタンを続けて押すことによって発信します。ボタン操作だけを考えると、電話機のワンタッチが一番操作が少なくて済みます。が、これが本当にベストなのでしょうか?

 電話機の短縮ダイヤルの場合、ボタンを押した後、電話はアナログ回線の発信操作を行っています。例えば、我が実家は市外通話になるんですが、そこへ電話しようとすると10桁の数字をピポパポとTAに向かって送ります。この間約3秒。これをTAが受信して、その後に「#」が来るか、ダイヤル桁間タイマーで設定した時間が経過した時点で、やっとISDNの発信操作が始まります。

 短縮ダイヤルが11桁以上登録できる電話で、「#」も登録できるもの(うちの電話もそうです)ならば、「#」まで登録することでダイヤル桁間タイマーのタイムアウト待ちは逃れることができますが、#も含めて11桁分、約3〜4秒の時間はどうしても縮められません。

 一方、TAの短縮を利用する場合は、電話は「*」と数字一桁しかTAに送りません。ピポ、で終わりです。この間、1秒もかかりません。AtermIT55の場合、その後ダイヤル桁間タイマのタイムアウトを待つことなく、即座にISDNの発信を始めます。

 これを考えると、操作を減らしたいなら電話機のワンタッチ、時間を節約したいならTAの短縮を使った方がよいことが分かります。まあ、ワンタッチにTAの短縮を登録してしまうのが最強なんだけど。

 アナログポートにモデムをつないで通信ソフトから発信する場合、通信ソフトの電話帳に登録してしまえばあとは操作は一緒ですから、TAの短縮を使わない手はありません。ただ、AtermIT55の場合、登録できる短縮が10までとちょっと少ないのが難点ですが。NIFTYの各APを登録していくと、あっという間に半分なくなります。^^;

 停電モード▲戻 ★

 いざというときに備えて、早いうちに停電モードを確認しておきましょう。AtermIT55の場合、停電モードを使用するためには単3アルカリ電池6本が必要です。また、停電モードはスイッチでオン・オフできますが、工場出荷時にはオフに設定されているので、オンに設定してやる必要があります。

 停電モードがきちんと使用できるかどうかは、コンセントから電源プラグを抜いて、電話をかけてみれば分かります。できれば着信まで確認するとよいのですが、面倒なのでそこまではやりませんでした。なお、電源スイッチをオフにしてしまうと停電モードになりません(本当に電源オフになります)。考えて見れば当たり前なんですが、最初、この事に気が付かずにちょっと悩みました。^^;

 試しに、プロバイダへのアクセス中に、ノートPCもろとも電源プラグを抜いてみましたが、ちゃんと動いていました。これで、プロバイダと電話局さえ動いていれば、電源瞬断やブレーカー断という事態が起きても安心です。

 その他、電池は自然放電というものがありますから、定期的に点検して、早めに取り替えるなり、予備を用意しておくなりする必要がある、という点に注意しなくてはなりません。

 ナンバーディスプレイ▲戻 ★

 最近話題になっている、「発信者番号表示」サービスの事です。「え? 何を今さら?」とお感じの人もいるかもしれません。そう、ISDN・携帯・PHS間ならば、基本契約だけで発信者の番号を表示することが可能なのですから。

08 Mar 1998 :
  と思ったんですが、PHSの場合には、事業者によって通知できる場合とできない場合があるようです。詳しくはPC Watch(インプレス)の記事をご参照下さい。

 ところが、アナログ回線との間では事情がちょっと異なります。アナログ回線からの電話の発信者番号をISDNで表示するためには、表示する側(つまりISDN側)がナンバーディスプレイを契約(有料)しなければなりません。逆に、ISDNからの電話の発信者番号を、アナログ回線側で表示したい場合は、アナログ回線側がナンバーディスプレイを契約しなければなりません。要するに、アナログ回線との間に限っては、番号を送り出すのはタダだけど、受けるのは有料、ってことです。

 しかも、この料金がアナログ回線が400円/月なのに対し、ISDN回線は600円/月です。元々機構が備わっているISDNがアナログ回線より高いのがちょっと腑に落ちませんが、まあ、そうなっているものはそうなっているので・・・。

 うちではナンバーディスプレイの契約は見送りました。いたずら電話が多くなったりとか、必要になったら考えよう、っていうことで。しかも、Atermのサポートサイトを見ると、AtermIT55DSUはナンバーディスプレイの対応はしない(できない?)みたいです。らくらくユーティリティからも見れないのかどうかまでははっきりしないんですが・・・。

 いたずら電話が多くて困る、という方は、このあたりも考慮に入れた方がよいようです。

 タイムプラス(NTTの市内長電話割引サービス)▲戻 ★

 タイムプラスの名称はまだあまり馴染みがないかもしれませんが、NTTが始めた市内通話割引サービスです。詳しい話はNTTのニュースリリースNTT Virtual Shop(西日本・このURLはアナログ版タイムプラス)を見ていただくとして、簡単に言ってしまうと、アナログ月々200円、ISDN月々350円を払えば市内通話料金が5分10円になるよ、というサービスです。ISDNは月々350円と少々お高いですが、アナログ2回線分よりも安いので、まあよしとしましょう。

 このサービス、最初は関東圏だけで始めるというのが話題を呼んで、ちょっと前に同じ関東圏だけで3分9円でサービスを始めたTTNetをいぢめているだけじゃないか、とか、5分10円にできるんだったらもっと早くやれ、とか、NTTは全国じゃなきゃ許さん、とかいろいろな意見が飛んでいましたが、全国のアナログ回線・ISDN回線へ範囲を拡大した認可申請を1998年10月に行い、11月からサービスが始まっています。INSタイムプラスの公報・申込のURLはこちら→ [ NTT東日本NTT西日本 ] です。

 大規模に報道されたのでご存じの方も多いと思いますが、「電話代が5分10円に」という表現になっていたと思います。じゃあ、電話代って?? 料金明細の上では、アナログ回線の通話料の場合が「ダイヤル通話料」、ISDNの場合が「INS通話料」と「INS通信料」になっているはずです。INS通話料の方は音声通信(G3 FAX・モデムなども含みます)、INS通信料はデータ通信の料金です。そして、アナログ版のタイムプラスの場合には「ダイヤル通話料」が、ISDNの場合には「INS通話料」と「INS通信料」が対象になります。

 テレホーダイと併用することもでき、深夜帯にテレホーダイ契約番号に発信する場合はテレホーダイ扱いになります。が、テレホーダイ契約していなくても深夜は7分10円になるので、夜11時以降はあまり使わないという人は、テレホーダイを契約しない方が安くなる場合もあります。また、一回の接続が3分行かない人はタイムプラスを契約しても通話料は変わりませんから、タイムプラスの基本料金分だけ損になります。よく検討してから導入しましょう。

 i・ナンバー▲戻 ★

 これまたあまり聞きなれない言葉だと思いますが、「INS64を対象に1契約で3つまで電話番号が利用可能」になるサービスです。1999年7月に発表された当時は「2番号」でしたが、2000年7月から3番号利用可能になっています。詳しくはNTT(西日本)のニュースリリース「i・ナンバー」の提供開始に付いて「i・ナンバー」の機能追加について、あるいはi・ナンバー解説ページをご覧ください。NTTには同様のサービスとして「ダイヤルインサービス」がありますが、よーく読むと以下の違いがあることが分かります。

i・ナンバー ダイヤルイン 備考
対象回線 INSネット64
(ライト含)のみ
アナログ・INSネット64・INSネット1500など アナログでダイヤルインを利用するには対応機器・付加機器が必要
契約番号数 3番号まで 最大1000
利用料金 300円/月(2番号)
400円/月(3番号)
1番号付加につき900円/月 (契約金・工事費・消費税などは別です)

 つまり、i・ナンバーとは、INSネット64で、3つまでの番号を呼び分けたい場合に利用する付加サービスで、「親と子供とFAXとBBSで別の番号を使いた〜い」という人はi・ナンバーではだめだ、ということです。i・ナンバーとダイヤルインは併用できないので、4番号以上を呼び分けたい場合はダイヤルインを契約することになります(ちなみに、グローバル着信機能(月々の使用料は無料)を契約し設定しておけば、4番号呼び分けの場合、ダイヤルイン番号は3つだけ契約すればおっけー。逆に、i・ナンバーの場合はグローバル着信は使えないようです)。

 番号は3つになりますが、同時に通話可能なのは2回線分だけです。2回線ともふさがっていると、それ以降はしっかり話中になるはずです。また、3番号タイプのi・ナンバーサービスは、3番号対応のTAでないと使えません。ファームウェアアップグレード対応もあるかもしれませんが、アナログポートが2つしかないTAではあまり意味がないので、そういうTAを持っている人はアップグレードを待ってもムダでしょう、多分。2番号から3番号へ、3番号から2番号への変更はしっかり工事費を取られますので、契約前によく考えておきましょう。

 主な用途はやはり「電話とFAXの呼び分け」でしょう。データポートを呼び分ける場合は、プロバイダを開業するとかしない限り、サブアドレスで呼び分ける方が楽です(相手もISDNのはずだから)。もっとも、プロバイダを開業するような人はそもそもINSネット64じゃなくて1500を使うと思いますが(笑)。

 NTTの能書きを読んでみると、NTTの交換機側でTAのポート番号に変換されるようです。ダイヤルインと仕組みが違うため、古いTAではそのままでは利用できません。一部TAではファームウェアのアップグレードによって対応可能ですが、古すぎるとファームウェアによるアップグレードもない場合があるので型落ち品や中古品を買う場合には注意が必要です。で、IT55は対応外なのだな、例によって(涙)。もう過去のTAなのね。できれば、電話番号を、ポートじゃなくてサブアドレスに変換して呼び出してくれるサービスにして欲しかったなぁ。これなら古いTAでも簡単に対応できるのに。> NTT殿

 蛇足ですが、FAXと電話が一体になっていて、電話線が一本しか生えてない場合、FAXと電話を呼び分けるには、FAX電話側にダイヤルイン機能が必要ですので、ご注意を。

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